特集:日韓LOVE&PEACE

「仲良くしようと言いやすい言論空間を」南彰

2019.11.26 東京グラフィティ12月号(#159)特集

Sakurako.O

Sakurako.O(Editor)

東京グラフィティがお届けする、日韓なかよし大特集!

PROFILE

南彰 (40)
新聞記者
2018年9月より新聞労連委員長。著書に『報道事変』、共著に『権力の背信』『安倍政治100のファクトチェック』『ルポ橋下徹』など。

仲良くしようと言いやすい言論空間を

 今は「仲良くしよう」って言っただけでも反日って言われる時代です。そんなときだからこそ、メディアの人間はそれを言いやすい環境を作る必要があると思います。

 今年の9月28日、日韓両国のメディアの労働組合で、「ナショナリズムを助長する報道には加担しない」という共同宣言を発表しました。発端は、韓国人の女性を暴行してやれとコメンテーターが発言したり、人種でくくって犯罪者扱いしたりするような番組や雑誌が出てきたこと。せっかく隣国なのに敵対して、ナショナリズムを煽る報道が続きました。政治的な対立はあると思うけど、それを煽ってお互いの関係を悪化させるのは良くないし、ましてや差別や人権侵害ならなおさら。そうならない報道をするべきだし、その意思を持つ人を応援します、ということを、まず日本の新聞労連で声明を出したんです。それを韓国のメディアの労働組合が見つけてくれて、「問題意識は全く一緒だから、ぜひ連携しましょう」とアプローチがありました。もちろん国益も大事だけれど、メディアの人間として、事実と人権を大事にするという点は一致しているから、政治に流されずそこを共有していきましょう、となったんです。

 国を超えてこうした声明を出すってあまりないですよね。もちろん、「また韓国の肩ばかり持つのか」という声も聞こえてくるし、そうした罵倒の声の方が大きいように見えますが、報道の現場の人間が意識を変えていこうと言ったことは、多くの人に好意的に受け止められていると感じます。みんなが韓国嫌いを望んでいるわけじゃない。基本的には仲良くできるように、一緒に共通項を探して、お互いに困ったときは助け合おうよと思っている人が圧倒的に多いんです。両国が抱えている悩みも、少子高齢化や大国・中国という周辺国の存在など似通っていて、歩み寄った方がいいことってたくさんあります。若い世代の人たちはそこまで悪感情を持っていないけれど、メディアが上の世代に合わせて嫌韓報道をしてたら、仲良くしようって言える環境を狭めてしまうことになる。それをしないように、言論空間を広げて、そういうことを言ってもいいんですよ、という環境を作れたらと思っています。

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