人生最高の本、映画

うまくいかなかった恋愛、つらかったこと、何も無駄じゃない

2016.03.26 レビューインタビュー

東京グラフィティ編集部

東京グラフィティ編集部(Editor)

福山匠(Goodbye holiday)/アーティスト
『ニュー・シネマ・パラダイス』
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ/1988年イタリア

映画をたくさん観るきっかけになった作品
 『ニュー・シネマ・パラダイス』に出会ったのは17歳の頃。友だちにすすめられて観たんだけど、その頃は映画を観る習慣もなかったし、あまりに長くて途中で寝ちゃったんですよね。最後のシーンだけぼんやり観て、いい映画だなーって印象でした。
 大学に入って、友だち作りのタイミングを逃して一人で時間を持て余していた頃、もう一度この映画を観たんです。すると、こんなにもいい映画だったのかってすごく感動して。自分の中でスイッチが入って、それから映画をたくさん観るようになりました。
 舞台は第二次世界大戦中のイタリアのシチリア島。田舎の村だからテレビもなくて、村の娯楽は映画館だけなんです。そこにはアルフレッドという初老の映写技師がいました。映画に興味を持った主人公のトトという少年が、映写室に忍びこんだりして、二人は仲を深めていくという話です。その中でトトの大恋愛があったり、映画の話があったり。

魔法みたいだって騒ぐ主人公の笑顔が忘れられない
 物語は50歳になったトトの回想から始まります。トトは映画監督として大成功してローマにいるんだけど、アルフレッドの訃報を故郷から受け取り、少年時代から青年期までを回想するんです。
 中でも、村のにぎやかなシーンが好きですね。娯楽を求めて、とにかくみんな映画館に集まるんですよ。人気映画の上映中に、映画館に人が収まりきらない時があって。外にも映画を観たくて待っている人がいる。するとアルフレッドは映写機を鏡かなんかで反射させて外に持っていき、村の建物に反射させて映画を映したんです。屋外のプチ映画館みたいな感じで。スピーカーも置いて、「映画がやってるぞ~!」って村人が喜ぶシーンがあるんですが、その時のトトの表情がすごくいいんですよね。魔法みたいだって騒いで、すごく喜んで。そのシーンが忘れられません。
 回想を終えたトトは30年ぶりに村に帰ります。かつての自分の部屋には写真がいくつかあるんですが、そこにはアルフレッドとの写真もある。それが映った時、有名な『ニュー・シネマ・パラダイス』のメインテーマが流れて、ああもうだめだってグッときて毎回泣いてしまいます。

映画愛の話とよく言われるけど、僕にとっては人生賛歌
 観れば観るほど、それまで何とも思っていなかったシーンで泣いてしまうんです。ノスタルジーがすごく強いのかな。僕はまだ生まれていない時代だけど、村人の交流とか、いいなあって思います。村の広場に居座っているホームレスがいて、俺の広場だって走り回ったり徘徊しているんだけど、村人から抗議されることもない。トトが村に戻ってきた時もまだいるんですよ。なんだか切なくてインパクトがあって、その人のこともすごく好き。
 映画愛の話ってよく言われるけど、僕は人生賛歌に近いものを感じます。たとえば、アルフレッドのせいというか、アルフレッドの思いもあって、トトの恋愛がうまくいかない時があった。でも大恋愛と引き換えに、トトは小さな村を出てローマで成功することができた。ラストシーンでは、アルフレッドが自分に残した形見のフィルムを見て感動します。これまでのうまくいかなかった恋愛、つらかったこと、そのどれもが無駄じゃなく、すべて人生の財産なんだって。トトが経験した失敗と重なる部分が自分にもあって、それも無駄じゃなかったんだなと思いました。
 僕が映画を観て感じた「つらかったことも全部無駄じゃない」っていうメッセージは作詞にも影響してるかもしれない。意識はしてないんだけど、自分自身もそう思うようになってから詞もちょっと変わった気がする。無駄なこともいっぱいあるかもしれないけど、根っこではそう思っていたいですね。

PROFILE

Goodbye hoilday:4人組バンド。2008年に広島で結成。2011年に東京に拠点を移す。2015年7月、エイベックスからメジャーデビュー。デビューシングル『革命アカツキ』と両A面2ndシングル『リベレーター』 / 『溢れるもの』を収録した1stフルアルバム『with YOU』を2月10日にリリース。

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