鈴掛真の恋の歌

57577で綴られた、切ない短歌

−第二回−歌人・小説家鈴掛真が綴る切ない恋の歌

2016.01.05 ほっこり個性的

東京グラフィティ編集部

東京グラフィティ編集部(Editor)

冬の思い出は、ふとした瞬間に歌になる

photo:西田周平

終わりなど やって来ないと 思ってた やって来ないと 信じたかった
「ありがとう」まだうつむいて しまうけど いつかは上手く 言えますように
もう一度 あなたに出逢えるとしたら 同じ木に咲く 花になりたい

『永遠に続くと思っていた恋が終わる瞬間に、馳せる思い』

 新しい恋が始まるとき。それは世界が七色に彩られたような幸福の瞬間。いつか終わりを迎えることなど、そのときは誰も想像することはないでしょう。けれど、すれ違い、価値観の違い、旅立ち、死別…いかなる理由でも、別れはいつか必ず訪れてしまうものです。

 僕にとって最も新しい別れの記憶は、とある肌寒い夜のこと。決意を相手に伝えようと、かつて夏の日に二人で散歩に訪れたことのある公園へ再び赴きました。あんなに明るく暖かだった公園の景色は、まるで全く別の場所に来てしまったと思うほど違って見えました。

 大きな桜の木を見上げるベンチに腰掛け、僕らは思いの丈を打ち明け合いました。これまでのすれ違いをひとつひとつ確かめ合うように。そして終電の時間が差し迫る頃、お互いにとって最良の形を選択しようと、僕らは別れを決断しました。

 何年か前に、あるいは何年か後に、もっと別の形で出逢っていたら。僕が僕でない、別の誰かとして出逢っていたなら。今でも考えることがあります。けれど誰もがそうやって、いくつかの別れの記憶を胸に、今日という日を迎えるのでしょう。

PROFILE

鈴掛真
歌人、小説家。著書に『好きと言えたらよかったのに。』(大和出版)がある。「ポップスとしての短歌」をセオリーに、ブログ、Twitterで短歌を随時発表している。東京・中目黒で毎週火曜日、自身がマスターを務めるバーを開催中。
http://suzukakeshin.com

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